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小規模マンションの管理不全に注意!所有者が留意すべきポイント

  • 執筆者の写真: 山口ねろ
    山口ねろ
  • 7月31日
  • 読了時間: 5分
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都市部を中心に、中古で手頃な価格で購入できる小規模な区分所有マンション。

投資用やセカンドハウス、相続対策などの目的で取得されるケースも少なくありません。

しかし、こうした「小規模マンション」の中には、管理が十分に機能していない

「管理不全マンション」となってしまっている物件が増えつつあり、

今や“隠れた社会問題”となりつつあります。

私はこのような物件の売買に関わったり、実際に自社で管理を引き継いだりする中で、

問題の深刻さをありありと実感しています。

そのような立場から、こうした小規模マンションの所有者が知っておくべきポイントを解説します。



1. 小規模マンションにおける「管理不全」とは?


「管理不全」とは、以下のような状態を指します。


  • 修繕積立金が足りない、または徴収されていない

  • 管理組合が機能していない(理事が選出されていない、総会が開かれない)

  • 管理会社が辞めてしまい、自主管理になっているが実質的に無管理状態

  • ゴミ出し・共用部清掃などの基本的な管理もされていない

  • 外壁や配管の老朽化が放置されている


こうした状態は、建物の資産価値を大きく下げるだけでなく、

周辺の地域環境にも悪影響を与えかねません。



2. なぜ「小規模マンション」は管理不全に陥りやすいのか?


主な理由は以下の通りです。


  • 区分所有者が少なく、役員のなり手がいない

  • 管理費・修繕積立金の負担が一人当たり重くなりがち

  • 投資用やセカンドハウスとして購入され、居住者が少ない(空室が多い)

  • 築古物件で、管理意識が希薄になりやすい


特に10戸未満の小規模マンションでは、所有者の高齢化や不在が管理の担い手不在に直結します。



3. 所有者が留意すべき5つのポイント


① 管理組合の実態を把握する

年に1回の総会が開かれているか?管理費や修繕積立金の会計報告はあるか?

まずは「今、管理が機能しているのか」を確認することが第一歩です。


② 長期修繕計画と積立状況を確認

築年数に対して必要な修繕がされているか積立金が十分かを確認しましょう。

不足している場合は、将来大規模修繕の際に一括徴収されるリスクがあります。


③ 賃借人の質や入居状況の確認

空室率や滞納率の高いマンションは、住民の入れ替わりが激しく、管理が荒れやすい傾向があります。賃貸で運用している場合でも、入居者のマナーや管理意識にも配慮が必要です。


④ 管理会社の選定と見直し

「管理会社がいない」「仕事をしていない」という状態では、建物の維持は困難です。

自主管理から管理委託への切替や、管理内容の見直しも一つの手段です。


⑤ 売却・資産入替の検討も視野に

今後、管理の維持が困難と感じた場合は、早めに売却や資産の入れ替えを検討することも重要です。管理不全が進行すると、買い手もつきにくくなり、「売れない不動産」になりかねません。



4. 管理不全の放置は、資産価値の下落を招く


小規模マンションであっても、適切な管理がなされていれば、資産価値を維持し続けることは可能です。しかし、放置してしまうと老朽化と共に、修繕費用が増加し、売却が困難になり、さらにはスラム化し、地域社会にも悪影響を与えるというリスクすら抱えることになります。



5. 積立金が少なく、さらにオーナーが修繕にかかる費用を拠出できない場合はどうしたら良いか


① まずは「最小限かつ緊急性の高い修繕」の優先順位をつける

  • 漏水、落下の危険、給排水トラブルなどは命や健康に関わるため、部分修繕の優先順位を明確にします。

  • 長期修繕計画は「理想モデル」なので、実態に即した“スモールステップ方式”の計画書を再作成します。


② 修繕コストの見積比較と工法の工夫で費用を最適化

  • 地元の零細工務店や一人親方などを使うことで、価格を抑えられるケースもあります。

  • 足場を組まず部分補修する、「部分防水」などの限定的施工でコストを分割。

  • DIY可能な範囲(廊下清掃・ペンキなど)は、住民・オーナーでの実施も検討。


③ 補助金や助成金の活用(市区町村単位で可能性あり)

  • 地方自治体によっては、マンションの耐震診断・改修・省エネ化などに助成金がある場合があります。

  • 例)東京都「マンション再生支援事業」、大阪市「長寿命化改修支援事業」など。

  • 管理組合単位で申請できる制度をリサーチし、書類作成などを代行する専門家の活用も視野に。


④ 一部区分所有者との協議で資産入替(売却)を促す

  • 「このままでは修繕できず資産価値も失われる」と説明し、協調して売却または譲渡を進める。

  • 例:老朽化マンションの一室を再生可能な投資家が安価で取得→再建や再生に関与というスキーム。


⑤ 所有者による「合意形成支援」「再建支援」専門家に相談

  • 弁護士・マンション再生士・不動産コンサルタントが所有者間の利害調整・信頼回復を支援します。

  • 管理組合の設立支援や、滞納対応、区分所有法に基づいた再構築手続きも専門的に対応可能。



補足:最悪のケースに備えた「出口戦略」の視点

  • 修繕不能で物件の維持が困難な場合は、区分所有者全員の一括売却も視野に。

  • 実現には全員の合意や区分所有法62条による特別決議が必要で、長期的な戦略になります。



結論:段階的・現実的・法的根拠あるアプローチがカギ


「お金がないから何もできない」ではなく、“できることから順に”着手する発想が最も大切です。

もし、ご所有のマンションで具体的な事例や悩みがある場合、それに即した対応策をより詳細にご提案できますので、お気軽にお申し付けください。




最後に:「管理を放棄しない」という意識が最大の防衛策


不動産は「持っているだけ」で資産になるとは限りません。

特に小規模区分マンションの場合は、所有者一人ひとりの管理意識が、建物全体の運命を、ひいては地域社会への影響を左右します。

「管理組合が面倒だから」「住んでいないから」では済まされません。

自分の資産を守るためにも、管理不全に陥らせない意識と行動が不可欠です。

ご相談やお悩みがあれば、いつでもコンサルタントとしてサポートいたします。

資産価値を守るための一歩を、一緒に踏み出しましょう。


 
 
 

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