不動産投資をする前に必ず知っておきたい事実
- 山口ねろ

- 2024年5月16日
- 読了時間: 8分
更新日:2024年5月18日

こんにちは😄
山口宅建士事務所代表の山口ねろです。
更新がかなり遅れてしまいました💦
今回のテーマは「不動産投資」です。
ひと昔前までは、「投資」と聞くとアレルギーを起こすような方も
少なくなかった我が国日本ですが、最近では国を挙げて、貯蓄から投資に
国民の資産を振り向けさせようという動きも活発ですので、
株式投資などはかなり身近になってきたのではないでしょうか。
そんな中、「不動産投資」と聞くと未だに眉を顰める方に多くお会いします。
しかし、そういった反応をされる方は、ほぼ100%と言える確率で、
不動産投資に対しての誤解や偏見を持たれています。
ただ、これは無理もない事だと思っています。
それだけ不動産というカテゴリがブラックボックス化していて、
プロと消費者間の情報の非対称性が大きいという事実の証左だと思います。
実際、その非対称性を利用して「今だけ、金だけ、自分だけ」の精神で営業しているような業者も見受けられます。これは「大手や上場企業だから安心」というようなことは全くありませんから、注意が必要です。
最初にお伝えしておきたいのは、この記事は決して不動産投資を読者の方へ推奨するものではありませんが、他の投資と同様、やり方や考え方次第で、良くも転べば、悪くも転ぶという、事実をお伝えする事のみを目的としています。
不動産投資に興味を持たれている方、これから始めようと思っている方の失敗を防ぐことができればと思い記事を作成しましたので、少しでも参考になれば幸いです。
◆そもそも不動産投資とは何なのか
不動産投資とは、文字通り不動産を利用して収益を得ること全般を指します。
なんと人類史と同じくらいの歴史がある最古のビジネスと言われていますが、
それだけ、本質的には単純明快なものです。
主に以下の投資手法があります。
1.賃貸収入を得る
これが最も一般的な方法です。
不動産を購入し、貸し出す事で、賃料収入を得る方法です。
簡単にいうと大家業、地主業です。
貸すというと、建物を想像しがちですが、地主として土地を賃貸するのも立派な不動産投資です。
小さなものでしたら区分マンションや戸建から、
大きいものですと例えば森ビルやミッドタウンのような商業ビルまで、
投資規模や細かいスキームはさまざまですが、基本的には投資としてやっていることは変わりません。
2.売買で利益を得る
こちらは単純に、「安く買って高く売る」ことで利益を得る方法です。
やることは単純ですが、売買のみを事業として繰り返し行うことは宅建業法の規制対象になりますので、売買を中心に投資を行うのであれば宅建業の免許が必要です。
つまり業者向けの手法であり、一般の方には向かない方法です。
また、相場を見極める力、すなわち査定力が無いと、そもそも「安く買えているのかどうか」を判断することが難しく、ハードルは高いと言えます。
不動産投資の失敗の9割以上は、査定力の欠如が原因と言えます。
以上、大きく分けると上記2つが不動産投資の手法になります。
◆不動産投資で失敗してしまう理由
結論から言いますと、不動産投資で失敗してしまう原因のほとんどは、
「計算を人任せにしてしまう」という事です。
何をもって失敗とするかは投資家によって基準が変わってくるところですが、
単純に赤字になってしまう事を失敗と考えますと、不動産投資の場合も株と同様、
売却するまでは含み益、含み損という考え方に近いので、売却してから初めて利益が確定すると言えますので、売却するまで勝負は決まりません。
つまり、賃料収入が毎月赤字でも、売却時に大きな利益が出てトータルで黒字になる事もあり得ますし、
逆に、買ったときよりも売却時の価格が下がってしまっても、毎月のキャッシュフローの積み立てで売却損をカバーできていれば、それはそれでプロジェクト全体としては黒字化できるということです。
例外として、最悪のパターンは、残債が返済できないなどの理由で売却がままならず、支出に耐えられずに破産してしまうケースです。この場合、最終的には不動産は差押えられ、任意売却や競売などにかけられます。この状態は、株式投資などで言うロスカットに近いと思います。
まとめますと、失敗してしまうパターンは以下のいずれかになります。
失敗パターンその1
毎月の収益がマイナスになってしまい、売却益でマイナス分を取り戻せないパターン
失敗パターンその2
毎月の収益は黒字だが、売却損失が積み立てた黒字を上回ってしまうパターン
失敗パターンその3(ワーストケース)
毎月の収益がマイナスになってしまい、売却もできず、支出に耐えられず破産してしまうパターン
上記から分かることは、不動産投資で失敗してしまう原因は以下2点につきます。
原因その1
毎月の収支のシミュレーション不足(想定以上の支出)
原因その2
売却時評価の査定ミス(想定していた金額で売れない)
そして、この最も大事な2つのポイントを業者任せにしてしまって、
シミュレーションや査定が甘かったために失敗してしまうというケースが非常に多く見受けられました。
◆失敗の要因を潰していくことが大切
不動産投資の経験が無い方は、家賃収入が毎月入ってくるのに、毎月の収益がマイナスになるなんて事がどうして起こるの?と思うかもしれませんが、不動産を運営するには管理費や修繕費用、税金、ローンの返済など、一定の支出が必ず発生します。
さらに、空室になってしまうと当然賃料は発生しないため、空室リスクも考慮する必要があります。
これは不動産に限った事では無く、保険や金融商品などでも全く同じことが言えますが、
投資を勧めてくる立場の人は、営業マンであって、プロの投資家でも、投資アドバイザーでもありません。
つまり、商品を買ってもらうところまでが仕事であり、言い方は悪いかも知れませんが、
その後にその人の投資がどういう結果を招こうと、知った事では無いのです。
そのため、不動産を購入した後の運営にどのくらいのコストがかかるか、将来どのくらいの金額で売れそうかなど、親身になって教えてくれる営業はほとんどいません。あえて教えない、ということもありますが、そもそも営業マンに投資の知識が無く教えられないというパターンも多いです。
非常に楽観的なシミュレーションを出してくるケースも非常に多いですが、
業者のシミュレーションはただのプレゼン資料なので、絶対に鵜呑みにしてはいけません。
そのシミュレーション通りにいかなかったとしても、法的責任を追求できないように逃げ道をしっかり作っているケースがほとんどです。
前章でお話しした通り、失敗の原因はたった2つだけです。
毎月の収支シミュレーションと、売却時の査定。
2つしかないので、ここに関しては自己責任でしっかり調べることが重要です。
査定に関してはある程度自身で目算できるようになる事が望ましいです。
極論、安く買えていれば、ほとんど損する事は無いのが不動産投資です。買った時点でほとんど勝敗は決していると言っても過言では無いくらいです。
また別の記事で、収支シミュレーションや査定の仕方について詳細にお話しできればと思います。
逆に、この2点の精度が上がって来れば、不動産投資で大きな失敗をすることはまず無いと言って良いと思います。
◆投資は自己責任、自責思考で行うべき
当たり前といえば当たり前なのですが、投資目的で不動産を購入するというのは完全に自己都合ですので、誰もその責任を負ってはくれません。
僕は、消費者相手に騙すような手口で不動産を売りつける業者も多く見てきましたが、
それと同時に、「他責思考」の投資家も多く目にしました。
つまり、失敗したら全て人のせい、という考え方です。
当然ですが、投資は成功したら全て自分の利益になりますので、損失も自分で被るべきなのですが、損失が出た時だけ他人に責任を追求する人は非常に多いと感じました。
このような思考回路では物事がうまく運ばないのは、投資に限った事ではないと思います。損失が出たら自分の責任という気持ちがあれば、シミュレーションに関しても査定に関しても、楽観的にはならないはずです。その結果投資をしないという結論に達するのであれば、
それはそれで英断だと思います。
ただ、あまり慎重になりすぎても投資の機会損失になりますので、そのバランスが非常に難しいかもしれません。不動産は水物ですので決断のスピード感も求められます。
ご自身でどれくらいのリスクが許容できるのかという線引きをはっきり決めておき、スピード感を持って決断する事が、投資家として成功するコツでは無いかと思います。
◆最後に
僕はこれまでの経験の中で、失敗した投資家さん、成功した投資家さんを数多く見てきました。
20代で億万長者になった方もいれば、自己破産に追い込まれた方もいます。
それだけの運命の振り幅を持った不動産投資ですが、時期が良く、人任せにしていてもたまたま上手くいって成功した人はいましたが、たまたま運が悪く失敗した人というのは見た事がありません。
まさに「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という格言のとおりです。
失敗には必ず明確な原因が伴っていますので、失敗の原因さえ可視化できれば、投資は恐ろしいものではなくなります。
今後、フリーで使用できるシミュレーションツールなども作成して公開していければと考えていますので、不動産投資で失敗する方を一人でも減らす事ができれば幸いです。
最後まで読んでいただき、有難うございました🙏✨




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